人生考路

個人と社会のウェルビーイングを高める教育と学びを探究する

ピア相談会を開催しました(学プラレポート)

先週はもう1つ学プラの別ユニットの活動がありました。

 

このユニットは、僕が担当する初年次PBL科目(プロジェクト学習1「学生生活をデザインする」)を、2021年度の秋学期に受講した学生たちで結成されました。

 

学プラの第1号のユニットで、2022年2月のFDフォーラムでも初々しくも頼もしい発表をしてくれました。2回生に上がって、それぞれの学生生活をめいいっぱい楽しみながら、メンバー間の関係性も深めながらゆるやかに活動を進めています。

 

学業的な側面だけでなく、課外活動や交友関係も大切に、トータルな大学生活の成功を目指して頑張っています。

 

そんなユニットの学生たちが「後輩学生のために何かしたい!」という想いをカタチにするべく、2022年度春学期に開講しているプロ1の受講生向けの相談会を企画してくれました。

 

2週間前の授業に来て、自己紹介を交えつつ、いま悩んでいることや相談したいことを紙に書いてもらいました。それらを予め分類して、担当を決めて、回答を用意して、先週の授業で相談会という形で実施してくれました。

 

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僕も毎週の振り返りで、受講生からの質問を受け付けて、回答したりしているし、受講生同士でも適宜相談し合えるように仕掛けていますが、やっぱり少し上の頑張っている先輩学生からの言葉は刺さるようです。

 

みんなとっても熱心に聴いていました。

 

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一生懸命準備して対応してくれたユニットのみんな、ありがとうね!

 

お互いの学びと成長に繋がるとっても良い企画なので、うまくパッケージ化出来るといいなと思います。

現地視察に行ってきました(学プラレポート)

「関大生の学びと成長加速プラットフォーム(通称、学プラ)」の地域活性化ユニットの活動レポートです。

 

このプロジェクトでは、八尾市広報・公民連携課からの依頼で、同課が所管する情報発信コーナーの活性化を目的に活動を進めていきます。

 

その情報発信コーナーというのが、八尾市駅前にあるアリオ八尾(https://yao.ario.jp)なるショッピングモールの中(2階)にあります。

 

僕や学生メンバーのほとんどは八尾市と何の縁もゆかりも無く、アリオ八尾って?って感じだったのですが、ここが庭というメンバーもいて、モールはここしかなくて、かなり賑わってますよって言われてました。

 

とりあえず、みんなで1回行ってみるかということで、今週月曜に学生らを連れて行ってきました。みんなそれぞれ予定があるので、先発隊と後発隊に分かれて行きました。

 

まぁ、確かに結構おっきくて、平日なのに結構人もいて、なかなかにポテンシャルはある感じでした。

 

とは言え、下が現地の雰囲気なのですが、この場所には全く人が寄り付いておらず、閑散とした状態でした。しかも、この何とも邪魔な柱。担当者も、柱が!って言っておられた意味が分かりました。

 

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中は割と広いので、魅せ方の工夫がいるなぁという感じです。また、何というか色んな広報資料が並べられているだけで、これでは見ないだろうなーという気持ち満載です。ちなみに、関大とも連携協定を結んでいるので、関大関係の資料もあるのですが、うーんという感じです。

 

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市では年中様々な〇〇週間、〇〇月間があって、年間スケジュールをもらいましたが、本当にたくさんあります。

 

僕らのプロジェクトはテーマも納期も決まっておらず、市の担当者からは好きにやって下さい!失敗しても全然いいので!と言われています。市によっては、ガチガチで、あれはダメとか、これが決まりですとかあって、それならあんまりやりたくないなーと思うのですが、今回この市の心意気もあって、じゃあ一緒にやりましょうかとなりました。

 

学生たちとあーだこーだしながら、市民の方々に足を運んでもらって、興味をもってもらって、意識と行動に変化がもたらされて、それを捉えるところまでのプロジェクトにしていければと思います!

 

道中で、学生たちとゆっくりお話出来たのも楽しい時間でした。

コロナ禍から日常へと移行する現在,なぜ仕事が増え続けるのか

みなさん,今現在,仕事の量ってどうですかね?

 

私的にはなんというかどんどんどんどん仕事が増え続けていて,首が回らなくなってきています。

 

身の危険を感じているので,何とかしないといけないのですが,コロナ禍でリモートなど便利になったのに,なんでこんな状況になってしまっているのか,少し整理してみようと思います。これをやったところで何になるわけでもありませんが,

 

まずは,コロナ以前とコロナ禍,日常に戻りつつある現在の3地点に分けて,仕事の物量を図にしてみました。

 

 

本当に単純なイメージ図なのですが,①のコロナ以前の対面での仕事の物量を100とします。それが②のコロナ禍に入り,全面リモートワークへと切り替わりました。そのことで,移動等の時間的・物理的コストが一気に下げられ,1.5倍程度の物量をこなすことが出来るようになりました。特に,コロナ以前の対面オンリーの時代では,丸1日・2日かかってそれだけで終わってしまうような大きなコストを伴う学外出張(研修や講演,シンポジウムや研究会,理事会や研究打合せ,外部委員会等)の仕事を,通常の仕事の中に組み込むことが出来るようになりました。これは素晴らしいことです。本当に素晴らしいです。

 

では,今現在はどうでしょうか。依然コロナ禍とは言え,日常へと戻りつつある現在は,本務校の仕事はほぼ100%対面です。つまり,コロナ依然と同程度の物量の仕事が戻ってきました(感染対策にも気を配らないといけない分,より負担感は大きい)。しかし,学外の仕事はと言うと,依然としてオンラインを活用するという流れが続いています。①から②にかけて1.5倍に膨れ上がった物量から対面分を引いても,明らかに以前よりボリュームが大きくなっています。ただでさえ,対面での仕事でも十分ボリューミーなので,どこでその時間を取るのかというと,結局,平日の夜とか土日になります。特に平日なんかは,対面ならありえなかったものの,オンラインなら,日中は時間調整ができないので「20時からにしましょうか」「土曜の午前中にしましょうか」と簡単に入ってきます。すると,現在は,コロナ以前の対面100に,学外の仕事が一般的な業務時間外にどんどん入ってきて,結果80ほどが乗って180と,コロナ以前の倍近くに仕事が膨れ上がってしまっている状況です。

 

これが,僕なりの「なんでこんなに忙しくなっているのか」への回答です。だから何やねん!という感じですが,要は,リモートで便利になって良かったというコロナ禍の感動は過ぎ去り,結局,忙しい人はさらに忙しくなる仕組みがおおっぴらに出来上がってしまった,という恐怖へと至るという話です。加えて,大学教員特有の裁量労働制というやつが組み合わさると,誰も守ってくれないエンドレスの労働時間が仕上がってしまうという話です。

 

授業もそうですが,仕事においても,結局,ハイブリッドって一番負担がかかるので,簡単に言うてくれないで欲しいなぁと。

 

最終的には,自分で自分を守る,すなわち,本気で「断る」ということを自分に徹底していかないといけないなと,自分は意志が弱いのでここで宣言したいと思います。

 

みなさまもお身体にはくれぐれもご自愛ください。

応援することしか出来ないけど

クラウドファンディングという仕組みが普及する中、自分には普段手が届かない社会課題の解決に挑戦しようという取組に対して、少しでも貢献出来ればという想いで応援させてもらう機会が増えてきました。

 

最近では、知り合いの大学教員が、子どもたちが安心安全に暮らすためのプロジェクトを立ち上げてクラファンを利用していたりもします。

 

今日は、僕の授業(1年生向けのプロジェクト学習1)を受講している学生が、授業が終わっていそいそと近づいてきて、チラシを渡しながら「世界一、2連覇に向けてアメリカに行きたいので、応援して欲しい!」と熱弁を奮ってきました。

 

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この学生はN'ismというダンスチームに所属していて、コロナ禍に入る前の2019年に開催されたWould of Danceで世界一になっているのでした。授業の最初の自己紹介でさらっと言った時は、は?くらいでしたが、イベントでのパフォーマンスをYouTubeで観たときは度肝を抜かれました。まぢかっこいい!

 

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授業にも一生懸命取り組んでいて、グループでもムードメーカー的存在ですが、普通の18歳というところも満載です。

 

そんな子がこんな風に挑戦したいと言うなら、大人はそれを全力で応援してあげるまで。今年の大会でも日本での予選は優勝したということで、アメリカで思いっきり楽しんで、全力で表現してきて欲しいと思います。

 

Have Fun!

光華女子学園を訪問しました

今日は生憎の雨でしたが、京都は右京区にある光華女子学園に行ってきました。

 

8月に中高の先生方の研修をさせてもらうこともあって、高校の校長先生とリーダーシップを取られている先生とお話しました。

 

女子校ということもあり、僕がずっと携わっている東山中高(男子校)とは違う所も色々あって面白かったです。光華ではこの2年近く相当大がかりな教育改革に着手していて、すごいなと思う部分と、急速に進めているひずみが出ないようにと思う部分とが見受けられました。これからが勝負ですね。

 

打合せが終わって、校内を少し案内してもらいました。研修会場となる図書館の多目的スペースも良い感じに改修されていましたし、何と言ってもステキだったのは2022年4月に完成した新校舎ですね。

 

https://ps.koka.ac.jp/introduction/building/

 

出来たてホヤホヤで新築特有の匂いに、多く使われている木の匂いも相まって、開放的かつワクワク感のある空間でした。初等で学ぶ子たち(小学生~中学2年生)の教室があって、すれ違う子どもたちがみんな元気に挨拶してくれて、何だか泣きそうになりました。しっかし、小学生めちゃくちゃ可愛いなぁ。

 

小学校・中学校の校長先生にもお会いして、立派に整備されたグランドを見ながら、休み時間にはしゃぎ回る子どもたちの様子などお伺いしました。

 

空間は学びと成長を大きく左右します。

こんな時代だけど、健やかに育ってね、と切に願います。

 

生徒さんがデザインしたイラスト入りのグッズなんかもいただきつつ、あたたかい気持ちで帰路に着きました。

 

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モカちゃん再検査

うちの可愛い可愛いトイプーのモカちゃん(10歳5ヶ月)。春の定期検診で、心臓と腎臓、胆嚢の3つの機能に異常値が見られたので、今日は再検査でした。

 

朝仕事の前にかかりつけの動物病院に連れて行って、夕方妻と検査結果を聞きに行くという段取りでした。

 

心臓は、聴診器で心音にノイズがあったことから、レントゲン撮影をして、どうも僧帽弁閉鎖不全症ということ。今回は前回から心臓の当該部位が肥大化していないかどうかを確認するというもの。結果、ほとんど大きさは変わっておらず、経過観察で良いでしょうということ。ほっ。

 

腎臓は、血液検査で異常があり、その値が悪くなっていないかを確認するもの。前のわんちゃん(ちょこちゃん)が、慢性腎不全で亡くなっていて、1年ちょっとの闘病生活は本当に辛そうだったので、かなりドキドキでした。尿検査の結果と合わせると、腎機能はきちんと機能しているので、食事をより注意してあげて下さいとのこと。こちらも経過観察。ほっ。

 

胆嚢は、エコー検査で胆泥が溜まっているということだったので、今日再検査。依然として見られるものの、ゼリー状や固形化されていないことなどから、こちらも食事に注意しつつ、経過観察ということに。ほっ。

 

モカちゃん、人間の歳にするともう立派なシニア犬。色々と身体も弱くなってくる。分かってはいるけど、出来る限りのことはしてあげたいし、一緒に過ごす時間を大切にしたい。

 

いつもパパとママを癒してくれて本当にありがとうね。だいすき♡

 

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ストレスチェック

金曜(10日)の夕方,妻と3回目のワクチン接種に行ってきました。丸2日経って,ようやく熱も下がり,腕の痛みもなくなりました(妻はまだ痛みと熱が多少残ってる)。1回目,2回目に比べるとだいぶマシやったかなと思います。

 

そういえば,職場のストレスチェックの回答指示が来ていたのでやりました。

結果の一部は以下の通りでした。

 

 

何というか,まぁ自分で答えているから,大体イメージ通りなのだけれど,「やりがいはあるけど,身体の疲労は危険水域」いわゆる「やりがい搾取」的なやつですかね(苦笑)。メンタルは大概丈夫な方だけど,中程度〜少しお疲れ気味。同僚(職員さん)には本当に恵まれていて全くストレスはないけど,まぁ何というか,全学を相手に仕事をしているので,どうしても,ね。

 

本当に,自分の体がいつまで持つかの耐久レースをずっとやってる感じなので,どっかでブレーキをかけないといけないのだけど,どうしたらいいのか分からず・・・

 

みなさまもくれぐれもご自愛ください。

久々の対面開催での学会参加

先週末(4日、5日)は、大学教育学会の第44回大会でした。会場は岡山理科大学、対面での開催でした。

 

本当に久しぶりでした。

 

この間、オンライン大会の実行委員等をいくつもやってノウハウも蓄積されたし、参加者としても利便性が高く、慣れてもきていたので、「えー、対面めんどいなぁ」って思ってました。

 

初日、朝イチから企画ラウンドテーブルだったこともあり、朝も早くて寝不足やし、あっついし、重たい足取りで会場へ。

 

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でも、会場に着くなり知り合いの人たちに会うは会うは。画面越しでしか会えてなかった人にから、本当に久しぶりの人まで。何だか一気にテンション上がって、「あー、これが対面の力か」と実感。

 

ちなみに、今回の企画ラウンドテーブルは以下の通りでした。

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【タイトル】コロナ禍が学生の学びと成長に与えた影響―大規模調査から大学教育の今とこれからを考える
【企画者】山田剛史(関西大学)、木村治生(株式会社ベネッセコーポレーション
【趣旨】ベネッセ教育総合研究所は、大学生の学習・生活の実態をとらえることを目的に、2008年から定期的に「大学生の学習・生活実態調査」を行ってきた。本ラウンドテーブルでは、このデータを用いて、大学生をとりまく環境変化が学びと成長にどのような影響を与えているのかを検討する。とくに、第4回調査(2021年12月実施)には、前回までの調査でも確認した大学教育改革の影響が表れている一方で、コロナ禍によって学びのあり方が大きく変わった様子も見られる。いまだコロナ禍の影響が残るなかで、大学は学生の主体性をどう育み、成長をうながせばよいか。大学教育の今と将来のあり方について参加者とともに考える場としたい。
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僕は「学生の学びと成長を促す対面・遠隔のベストミックスを探る」と題した発表と全体の司会進行。コロナ禍以前から継続的に実施してきた調査の結果とコロナ禍での結果を比較分析したり、入学年度の差やオンライン授業など今回特有の結果を深掘りしたりと、なかなか有意義な時間でした。

 

この調査結果や今回のラウンドテーブルのディスカッションの模様などは、後日ベネッセ教育総合研究所のHPに掲載されるようです。他にも色々な形で発信していく予定なので、色んな方に活用していただければ幸いです。

 

ラウンドテーブルが終わってからも、歩けば知り合いに遭遇しては小話が絶え間なく続く。オンラインでは味わえないし、大した話かと言われればそうでもなかったりもするけど、でも、とにかく楽しかったです。

 

初日のプログラム終了後は、市駅周辺のレンタルルーム(ホントにマンションの一室だった)で、鳥居科研の研究ミーティング。1⇔1や1→多とは違い、研究メンバー8人が同時に議論する空間はやっぱり対面でこそ生きるなと実感。短時間でしたが、久しぶりの研究仲間らとのワイガヤを終えて、一路帰宅。

 

翌日も部会の司会の仕事だったけど、1度帰らないといけない用事が入ってしまい、連日日帰りプラン。トホホ…

 

やっぱり体力は相当削られましたが、なんやかんやで久々の対面開催での学会をエンジョイしました!

地域活性化ユニット始動

前回のブログで紹介した学生プラットフォームでは現在3つのユニットが動いています。

 

3つ目の地域活性化ユニットがいよいよ本格的に始まります。

 

7日(火)には、学生ら5人(4年生2人と3年生3人)と、連携先(依頼元)の八尾市広報・公民連携課の職員、本学地域連携センタースタッフとのキックオフミーティングが開かれました。

 

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正課では「プロジェクト学習2(吹田市との連携)」という科目を担当しています。吹田市の複数部署から提示される課題(お題)について探究し、最終的には市の施設にて職員向けにプレゼンするという授業ですが、今回のプロジェクトはより実践的なものになっています。

 

これまでプロ2の受講生からは、提案するところまでというのがもどかしいといった声も受けていました。そらそうやと思います。そんな想いを地域連携センターのスタッフにも伝えていて、今回の取組に至りました。

 

本学での地域連携の取組は、基本先生の研究室の単位で、ゼミ(卒業研究等)の一環として行われているようです。そうすると、そういう先生がいる学部・学科の学生であれば、またうまくゼミ配属が叶えば、こうした機会を得ることは出来ます。でも、そうじゃない学部等の学生にはなかなか難しいことになります。地域連携センターでも、こうした形での地域連携は初めてなので、全学のモデルケースとして大事にしたいと言ってくれています。

 

もう1つの意義は多様性にあるかなと考えています。同じ学部・学科・ゼミとなると、どうしても価値観や志向性が似てきます。所属学部で学生のキャラクターって結構分かれるものです。そうした意味でも、学部等や学年が異なる学生たちで行うプロジェクトは総合大学の強みを活かしたものだと考えます。

 

今日9日(木)は昼休みに集まって、メンバー同士の交流を行いました。プロジェクトの成功には濃ゆいメンバーシップが不可欠。みんな良い感じにタイプが違っていて、楽しみです(写真は漢字フォーカシングで自己紹介)。

 

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プロジェクトの進捗はブログでも紹介していければと思います。

 

スケジュールが既にぎちぎちだけど、学生のみんなと楽しみながら自分自身も学び成長していきたいと思います!

関大生の学びと成長加速プラットフォーム

気づけばGWもあっという間に過ぎ去り,春学期も折り返しに入ってきました。

コロナ禍も3年度目に入り,少しずつ日常に近づいているでしょうか。

 

今回は,表題にある「関大生の学びと成長加速プラットフォーム」を立ち上げました,という報告(紹介)です。

 

当プラットフォーム設置の背景・意図を含む詳細な内容については,私のHP(http://yamatuyo.com/education.html)に掲載しています。

 

関大に異動して1年半が経ち,各種調査やIRを通じて,また,色んなタイプの授業での学生とのインタラクションを通じて,関大生について理解が深まってきました。

 

関大には色んなタイプの学生がいますが,正直言うと「就職のために進学」「卒業のために単位取得」「授業よりキャンパスライフを満喫したい」というタイプの学生が少なくないと思います。一方で,学びに対して貪欲な学生,深い議論をしたい学生も当然いるのですが,そういう学生が「周りの空気」に流されて(合わせて),そういう自分を出さないようにしている傾向が見えてきます。そのうち,もうそういうもの,と割り切り,学びに対して消極的になっていく,そんな学生にも遭遇します。そうした学生同士がつながることがなく,孤立化しています。

 

私の授業では,心理的安全性を高めながら,振り返りやフィードバック,毎回メンバーを変えてのディスカッションを組み込むのですが,徐々にそういった学生たちが「この授業では議論して良いんだ」「自分の考えを出して良いんだ」「遠慮なくメモを取って良いんだ」と思うようになり,徐々に自分にかけたリミッターを外し始めます。それが教室空間に広がり,大学本来の学び場が浮かび上がってきます。(それでも,そういうのが「だる」「めんど」っていう学生がいるのも事実ですが…)

 

たとえば,今期の教職科目(履修者80名弱)では,その延長として,受講生から「授業内外でもっと学生同士で議論したい」という思い,そしてそれを具体化するためのLINEのオープンチャットの提案があり,授業で紹介する時間を設けた後,実際に動き始めています。単位や評価に関係なく,教員の主導でもなく,主体的な学びが創発されています。

 

私たち大学教員の仕事は,こうした学生の学びに対するリミッターを解除して,色んな学生同士のつながりや関わりを生み出し,学びと成長を加速化させる,そのための仕掛けや機会・場を提供する(プロデュースする)ことにあるのではないかと強く感じるようになりました。

 

その私の思いと呼応する形で,学生たちからは授業の枠を超えて,学部・学年の枠を超えて,もっと議論したい,教育をもっとよくして欲しい,といった声をたくさん聞いてきました。ただ不満として振り返り等で間接的に伝えてくるだけでなく,実際に複数の学生が集まって私の研究室を訪ねてきて,直接その思いやアクションプランを伝えてくれました。

 

ならやるしかないよね,ということで枠組みを整理して今回のプラットフォームを設置する運びとなりました。

 

学部ゼミとは違う学部・学年横断的なユニットで,TA・LAといった業務でもなければ費用も発生しない。そういう形でどこまで持続的な運用が出来るか分かりませんが,少しでも「もっと学びたい・成長したい・つながりたい・チャレンジしたい・届けたい」という思いのある学生たちのためになるよう頑張ってみたいと思います。

 

また,こうした取組に関心のある教職員の方々,実際にやっているよといった方々などとも私自身つながってディスカッションできれば嬉しいです。

新年度最初の1週間を駆け抜けて

新年度が始まり、怒涛の1週間が終わりました。

もう1日平日があったら倒れてたかも…というくらいめいっぱいでした。

 

新年度と言っても、昨年度から続く業務はもちろんありますが、スタッフが入れ替わったりするので、新しい方にきちんとオリエンテーションもしないと!と色々気張りました。

 

教育推進部に山田嘉徳先生が着任されました。専任教員4人のうち2人が山田なので、結構前から教職員の中でお互いを「どう呼ぶか」問題が勃発していました。結局、下の名前で呼びましょう!ということで、剛史先生(さん)、嘉徳先生(さん)を広げているところです。逆に親しみが出ていいな(ラッキー♪)と思っています。コロナ禍のおかげで、授業ではみんなニックネームで呼び合うようになり、これがかなり良い感じなので、我々大人の世界もそんな風だといいなと思います。

 

ただでさえ山田って名の教員は多いし、これを機に学内外のみなさんもそう呼んでくれたら嬉しいなって思ったり。僕としては「ミッキー先生でいいですよ!」と声高に主張してきているので、それでも僕は喜びます。

 

新年度なので、To Doだけではなく、自分も新しい取組を始めたいということで、その1つとして、声をあげてくれた学生たちとの新たなプロジェクトが動き出しました。リリースまで整えることが色々あるので、追って紹介出来ればと思います。

 

何と言っても緊張感があるのは授業です。どれだけ授業をしてきても、初回授業は緊張します。学生たちを楽しい学びと成長の世界に誘えるか、第1回目はそのために最も重要な回で力を入れるところです。

 

この春学期は、1年生対象のPBL科目と、3年生以上が対象の教職科目、サービスラーニング科目、それと社会学部の3年生以上が対象の心理学科目の計4科目です。

 

4つのうち3科目が3年生以上(実際にはほぼほぼ3年生)になっていて、この学年はコロナ禍で入学してきた1年目の学生たちです。それもあって僕の緊張感は一層高まっていました。

 

ひとまず全ての科目の第1回目を終え、思った以上にみんな楽しんでくれていて、ホッとしました。僕はどのサイズ感の授業でも学生同士の対話や学生と教員との対話は入れるようにしています。3年生の学生らの感想から「ずっと1人で勉強してきたので、他の学生と話が出来て本当に嬉しかった」「今までディスカッションとかしたことが無かったので、すごく新鮮でこれこそ自分が求めていたものだ」「教員になろうと教職科目と1人で向き合ってきて、本当にいいんだろうか不安だったけど、同じような学生たちもいることが分かって安心した」などなど、学生たちがいかに学生同士でのコミュニケーションやディスカッションを欲しているか痛感しました。

 

しかし、コロナ禍だったとは言え、上回生にもなってアクティブラーニングやディスカッション等を全く/ほとんど経験したことがない学生があまりにも多いのは、悩ましいところです。

 

また、学生からは学生生活や進路等に関する個別相談の依頼が止まりません。僕のスケジュールがどんどん埋まっていくのですが、学生たちは相談できる大人がいなくて本当に困っている様子です。なので、出来る限り断らないようにしています。

 

今年度も、徹底的に学生の目線で、社会への移行を中核に据えて、学生の学びと成長を最大化する教育・学習環境の実現に尽力したい、しなければならないと痛感した1週間でした。

 

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(7年目に入った東山中高にて/2022.04.06)

 

いよいよ新年度

気づけば今日は3月31日ということで、2021年度の最終日ですね。

 

コロナ禍で季節や時間感覚が鈍っているのもありますが、毎日が本当に慌ただしく、充実しているのもあるかなと感じます。

 

関大に着任して1年半が経ちました。正直、こんなに色んな人が自分のことを必要としてくれるとは思っていなかったです。執行部や教員もですが、色んな部署の職員さんや色んな学部の学生さんが、山田と話がしたい、力を貸して欲しい、相談に乗って欲しいとひっきりなしに声をかけてくれました。そのおかげで、大学(関大)のことや、学生(関大生)のことをよりリアルに理解することが出来、教育開発・学生研究の面でも自身の成長を実感することが出来ました。

 

スケジュールがぎちぎちで、お昼休みも取れない日もほとんどでしたし、オンラインのおかげ(せい)で土日や夜も入ってくることがしばしばでしたが、自分が学び成長できるというのは、物理的なキツさを凌駕する快楽だなと思っています。

 

一方で、大学(関大)の課題も色々見えてきていますし、やらないといけないことは山積みです。引き続き、スタッフらと力を合わせて、もっともっと学生の学びと成長が促進される教育・学習環境づくりに寄与していきたいと思います。

 

他者のニーズに応えようとするがあまり、自分自身のことの優先順位が下がってしまうのは、個人的な課題としてあるので、もうちょっと自分のための時間を確保しなきゃなと思います。

 

新年度から新しい場所、新しい立場でお仕事されるみなさま、大学を卒業して社会人や大学院生としてお仕事、研究される学生のみなさん、くれぐれも健康に気をつけて、新たなスタートが良きものになることを祈っています。

 

故人の意志を継ぐ

今日は本学職員の葬儀・告別式に参列してきました。

 

本当に突然のことで、訃報を聞いた時は頭が真っ白になりました。

 

長らく本学の発展のために多大なる貢献をされてきたことはスタッフからも聞いていたし、今日の告別式にも本当にたくさんの方が来られていて、みんなから慕われていたことが窺えます。

 

僕はまだ着任して1年ちょっとで、故人とは人事異動のあったこの4月からの接点しかありません。

 

でも、僕からもっと学びたい・ディスカッションしたいということから、その方の声かけで、これからの関大の教育が発展するために不可欠なキーパーソンの職員らが集まり、非公式の懇談会(勉強会)を始めていました。

 

まだ数回しか開催出来ていませんが、僕の前に座って、僕が話すことを一生懸命メモを取りながら、どうすれば前に進めるかを熱弁していた姿、声が今でもはっきりと焼き付いています。先週末の主催フォーラムにも出てくれていたし、来週には次の懇談会を開く予定にもなっていました。

 

この方を中心に関大の教育はもっと前に進める、僕なりにしっかり支えていこう。そう確信し、楽しみにもしていました。

 

その矢先でした。

 

本当にショックです。無念です。何よりご本人が一番無念だと、悔しいだろうなと思います。何故かその想いが僕の中にぶわっと流れてくるので、その度に涙が出てしまいます。

 

コロナが落ち着いたら飲みに行きましょうね!って言ってたのに……

 

職種こそ違うけれど、故人の意志を引き継いで、その意志を継ぐこれからの職員さんらと一緒に、さらに邁進していく所存です。

 

これまで関大のために尽力していただき、本当にありがとうございました。

 

見守っていて下さいね。

 

山田剛史

【発行】コロナ禍における授業・学生生活に関するレポート

今日は、主催イベントの教学IR/FD合同フォーラムでした。この報告は改めてしたいと思いますが、今日のイベントに合わせて作成した以下の調査レポートを紹介したいと思います。

 

関西大学教学IRプロジェクト(山田剛史・矢田尚也著)「コロナ禍における授業・学生生活に関するレポート」

https://www.kansai-u.ac.jp/ir/research/asset/index/ir_corona_report.pdf

 

コンパクトにまとめていますが、一定のデータに基づいて、コロナ禍の経験から大学が考えるべき大事な論点を提示することが出来たと感じています。

 

ご笑覧いただければ幸いです。

2回の新聞取材で伝えたかったこと

昨年12月に2度の新聞取材を受けました。いずれも読売新聞東京本社からで,一つは教育部(12/1),一つは編集委員(12/17)の方でした。それぞれZoomで1時間30分ほどじっくりお話ししました。これまでであればメールや電話で簡潔にやり取りをしていたわけですが,こういう時に便利だなと改めて思いました。

 

取材記事はそれぞれ以下のような見出しで掲載されています。

  • スキャナー「大学対面授業「全面」二の足」(朝刊,2021年12月5日)
  • 解説「コロナ後の大学教育」(朝刊,2022年1月22日)
  • 「学生のためになる「よいオンライン授業」とは…コロナ後の大学の授業はどう変わる?」(オンライン,2022年2月11日)

 

記事自体は大きいもので,僕のコメントは少量にはなりますが,国内外全てを巻き込んで議論されている重要なテーマということもあり,自分なりに考えていることを少しでもお伝えできたので良かったなと感じています。

 

色んな情報を圧縮していることもあり,コメント自体は短くなったわけですが,担当の方は最後の最後まで丁寧にこちらに確認を取ってくれて,一文一文の表現にまでこだわってくれました。紙面が限られる新聞という媒体で,幅広い読者層に興味を持って理解をしてもらえるよう伝えるのは大変な仕事だなと改めて感じました。

 

そこで僕が何を伝えたかったのか。

 

この間,大学の遠隔授業60単位上限の緩和について議論されていました。取材時は「おそらく緩和されていくだろう」という状況でした。現在は,中教審においても緩和の方向で具体的に検討をしていく段階に入っています。

 

経緯としては,現在特例措置となっている上限解放を,コロナ後も上限を撤廃して欲しいという要望が私大連から文科省に出され(文科省からもその関連で個別に相談がありましたが),中教審や教育未来創造会議などで議論がなされ,今は上記のような方向に進んでいるということですが,僕は最初とても違和感を覚えました。

 

確かにオンライン授業に関する効果は一定認められるにせよ,60単位(卒業要件単位位の約半分)でも大概多いのに,それを撤廃とはどういうつもりなんだろうかと。

 

学内でもずっとコロナ禍での学生の授業・学生生活に関する調査等を実施・分析してきていますが,オンライン授業をそこまで広げていくことが望ましいと感じるような結果は出てきていません。学生の声を聞いてもそうです。

 

にもかかわらず,多くの大学関係者がこうした上限緩和について同意している。

 

一体誰を見ているのだろうか。

 

その疑問を整理して,大学教育の方向性に対して一つの論点を提示したかったというのが,今回の取材コメントにあたります。

 

端的に言えば,現在大学進学者(在学者)のほとんどは18歳〜22歳の青年期後期に相当する若者です。青年期後期は,重要な他者との出会いや様々な経験への傾倒(コミットメント)を通してアイデンティティを確立し,大人へと成長・発達していく段階です。一つは,この大学生の成長・発達の文脈があまりにも考慮されていないのではないかという問題提起です。もう一つは,オンライン授業(特にオンデマンド授業)に適応している学生は誰かという点です。確かにオンデマンド授業に対する満足度は高いし,こうした授業を続けて欲しいという意見も相当数に登ります。ただし,それが本当に効果的かという点では疑問が残ります。物理環境的な利便性という話と教育効果とは別の話で,データを見る感じから「学べた気になっている」感覚が強く,定着しているかという点では対面に劣っているのではないかと思われます。これは先の青年期の大学生一般の特徴から考えても理解できるものです。大学における学び方を習得できていない,また十分にモチベートされていない状況で,一人でPCと向き合いながら学ぶというのは非常にしんどい作業です。それでも適応できている人はいます。例えば,それは,知識=覚えるという教授(教員側)・学習(学習者側)の枠組みが成立している場合(従来型の教授・学習観),いわゆる受験学力の高い学生や勉強が好きという学生などが挙げられます。ですので,現状の大学生の置かれている文脈を考慮すると,オンライン授業というのは一部の学生に対して,一部の能力(知識獲得)に偏ったものであり,慎重かつ限定的に使っていく必要があるというのが僕の見方です。

 

そのことと関連して,此度の上限緩和の話で言えば,オンライン授業は大人の学び(リカレント)としては「あり」だと思っています。それは,大人の大半は既に大学教育での学びを経験し,社会生活を営む中で学ぶべき知識や技術が明確になっている,いわゆる自律的な学びが出来るレディネスがある,また,発達的にも青年期を終え成人期にあるということから,物理的・時間的制約がある中で効果的・効率的に学べるオンラインの仕組みは極めて有効ということです。日本の社会人学生(特に学部学生)の比率は極めて低く,これから18歳人口の減少が激しくなる中で,留学生や社会人学生に広げていく教育政策・経営戦略は不可避なのだろうとは思います。ただ,現在大半を占める青年期後期に相当する大学生に対する教育の話と,留学生や社会人に対する教育の話とを分けて考えるべきだというのが僕の考えです。

 

対面・遠隔の方法論的是非あるいは効果的な組み合わせということを議論する上で,その対象である大学生が成長・発達的にどういうステージにいるのかという視点を踏まえて欲しいというのが僕が最も伝えたかったことになります。

 

長くなった割にまとまりがなくなってしまいました。ちゃんとデータも交えながら論文にもしなきゃなと思います。