人生考路

個人と社会のウェルビーイングを高める教育と学びを探究する

関大生の学びと成長加速プラットフォーム

気づけばGWもあっという間に過ぎ去り,春学期も折り返しに入ってきました。

コロナ禍も3年度目に入り,少しずつ日常に近づいているでしょうか。

 

今回は,表題にある「関大生の学びと成長加速プラットフォーム」を立ち上げました,という報告(紹介)です。

 

当プラットフォーム設置の背景・意図を含む詳細な内容については,私のHP(http://yamatuyo.com/education.html)に掲載しています。

 

関大に異動して1年半が経ち,各種調査やIRを通じて,また,色んなタイプの授業での学生とのインタラクションを通じて,関大生について理解が深まってきました。

 

関大には色んなタイプの学生がいますが,正直言うと「就職のために進学」「卒業のために単位取得」「授業よりキャンパスライフを満喫したい」というタイプの学生が少なくないと思います。一方で,学びに対して貪欲な学生,深い議論をしたい学生も当然いるのですが,そういう学生が「周りの空気」に流されて(合わせて),そういう自分を出さないようにしている傾向が見えてきます。そのうち,もうそういうもの,と割り切り,学びに対して消極的になっていく,そんな学生にも遭遇します。そうした学生同士がつながることがなく,孤立化しています。

 

私の授業では,心理的安全性を高めながら,振り返りやフィードバック,毎回メンバーを変えてのディスカッションを組み込むのですが,徐々にそういった学生たちが「この授業では議論して良いんだ」「自分の考えを出して良いんだ」「遠慮なくメモを取って良いんだ」と思うようになり,徐々に自分にかけたリミッターを外し始めます。それが教室空間に広がり,大学本来の学び場が浮かび上がってきます。(それでも,そういうのが「だる」「めんど」っていう学生がいるのも事実ですが…)

 

たとえば,今期の教職科目(履修者80名弱)では,その延長として,受講生から「授業内外でもっと学生同士で議論したい」という思い,そしてそれを具体化するためのLINEのオープンチャットの提案があり,授業で紹介する時間を設けた後,実際に動き始めています。単位や評価に関係なく,教員の主導でもなく,主体的な学びが創発されています。

 

私たち大学教員の仕事は,こうした学生の学びに対するリミッターを解除して,色んな学生同士のつながりや関わりを生み出し,学びと成長を加速化させる,そのための仕掛けや機会・場を提供する(プロデュースする)ことにあるのではないかと強く感じるようになりました。

 

その私の思いと呼応する形で,学生たちからは授業の枠を超えて,学部・学年の枠を超えて,もっと議論したい,教育をもっとよくして欲しい,といった声をたくさん聞いてきました。ただ不満として振り返り等で間接的に伝えてくるだけでなく,実際に複数の学生が集まって私の研究室を訪ねてきて,直接その思いやアクションプランを伝えてくれました。

 

ならやるしかないよね,ということで枠組みを整理して今回のプラットフォームを設置する運びとなりました。

 

学部ゼミとは違う学部・学年横断的なユニットで,TA・LAといった業務でもなければ費用も発生しない。そういう形でどこまで持続的な運用が出来るか分かりませんが,少しでも「もっと学びたい・成長したい・つながりたい・チャレンジしたい・届けたい」という思いのある学生たちのためになるよう頑張ってみたいと思います。

 

また,こうした取組に関心のある教職員の方々,実際にやっているよといった方々などとも私自身つながってディスカッションできれば嬉しいです。