人生考路

個人と社会のウェルビーイングを高める教育と学びを探究する

大学教育研究フォーラム&トークライブに参加して

今日3/13と明日3/14は,第30回大学教育研究フォーラム@オンラインが開催されています。旧京都大学高等教育研究開発推進センターが主宰してきて30回目,30年続けてきたのですね。今は実行委員会方式で開催して,当方も委員を務めさせてもらっています。学会といった(ある種)閉じた世界とは違い,誰もが大学教育について発表・参加できる機会はなかなかないので大事な役割を担っていると感じます。

 

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とは言え,今日も複数の会議等が入っていたので,つまみ食いになってしまったのですが。夕方のシンポジウムに入室した時は共愛学園前橋国際大学の大森先生が報告し始めたところでした。大森先生のお話は何度もお伺いしているし,国の委員会などでご一緒することもあるし,昨11月にはサシ飲みで4時間もガッツリお話したところだったのですが,それでも何度聞いても惚れ惚れします。もう本当にカッコよすぎてたまらないですね。ビジョン,リーダーシップ,エージェンシー,情熱,人間性,それらに裏打ちされた数々の実践や成果を魅力的に語るプレゼンテーション力などなど,圧倒的です。2016年に初めて会ってからずっとファンではありますが,どんどん先を走られていて,どこまで行くんだろう・・・と。

 

語られる内容は,大学人はもとより全国民に聞いて欲しいものですが,逆に圧倒的すぎて他の大学との距離が離れすぎているような気もして,強いて言えばそこが少し心配です。自大学を良くしようというだけではなく,大学全体・地域社会全体をエンカレッジしようという意志を感じますが,それでもなかなかこの地平にまで辿り着ける大学が果たしてあるだろうか・・・と思います。共愛を目指さなくて良いと大森先生は語るでしょうし,同じことをする必要はないにしても,大きなビジョンは共有すべきことなのかなと。

 

それが今回のシンポジウムの最後に語られた「大学の再定義」に尽きるのだろうなと。そのためには大学人の意識をアップデートする必要があり,それが人事を始めとするあらゆる面で具体的な改革へと接続しなければならず,それをやり抜く執行部の覚悟が必要で・・・と。大森先生も幾度となく「覚悟」という言葉を発しておられます。おそらく多くの大学はそういうシミュレーションをしていって,「う〜ん,うちでは厳しいかも・・・」となってしまう。あるいはそこにはものすごく時間と労力がかかってしまい,その間に任期を終え,継承されず,一進一退を繰り広げ,その間にどんどん受験者数は減少し,体力が底を尽いてしまうという最悪のシナリオ。そういうこともあり,本質的な組織風土づくりではなく,学部新設や改組など外形的な見栄えを整えるところに意識を向けざるを得ないと。

 

大森先生はそういうケースも重々見聞しながらも前向きに語っておられるので,僕も消極的な表現はしたくないなーと思いつつも,僕自身の経験や色んな大学の教職員の方々との交流を顧みると,どうしても現実は・・・と思ってしまいます。

 

フォーラム1日目の振り返りが大森先生好きを吐露しただけ(笑)になってしまった感もありますが,とりあえず明朝は自分の発表&座長のお務め頑張ります。

 

また,上記と関連して,僕はやっぱり学校という組織やそれを構成する教職員が変わっていくことが不可欠で最重要・最優先課題だと思っています。教授法や評価法,ツールやテクノロジーなどは枝葉であって,根本のところが変わらないと生徒・学生の幸せ(Student Success)には繋がらないだろうと。

 

そこをどうすれば良いのか知りたくて,今宵はフォーラム後,19時からベネッセ教育総合研究所主催のトークライブ「探究的な学びを推進する学校内チームづくり」に参加しています。

 

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大学とはまた違う意味で高校も割とチームづくりが上手く出来ていないように見えることが少なくありません。大学に比べると,生徒の学びと成長に対するエンゲージメントは高いわけですが,個人個人を尊重するという名のもとに,他者に干渉しない代わりに自分も干渉しないで欲しいという意識(壁)があるのかなと。探究学習が急速に入って,まずは特定個人が属人的に出発して,そこから学校内に広げていく。でも,そのアプローチではなかなかキャズム(16%の溝)は超えられない。大人の都合で最終的に不利益が生じるのは子どもなので,どこを目指すのかはきちんと共有しないといけないと思います。

 

大学も高校も,いかに生徒の学びと成長のために学習する組織へと変質していくか,そこに挑戦しようという学校,管理職や教育者,研究者と繋がっていきたいなと切に願っています。そういう人はぜひ山田まで。