人生考路

個人と社会のウェルビーイングを高める教育と学びを探究する

2022年を振り返る〜年内最後のご挨拶〜

いよいよ2022年も終わりますね。大学の業務スパンでいくと年度単位なので,まだ3ヶ月残っている感覚ではありますが,1つの区切りではあるので,少しだけ振り返っておこうかなと思います。

 

2022年も依然コロナ禍にはあるものの,対面の機会も増えてきて,新入生を見ていると随分とキャンパスライフを楽しめるようになってきたかなと感じます。業務面では,本当に忙しい1年でした。毎年忙しいと呟いている気もしますが,やっぱりコロナ禍のおかげ(せい)で,オンラインというツールが手に入ったため,今までだったら無理だった学外業務が平日の夜や土日にもガンガン入ってくることになったので,物理的な時間は明らかに増えました。その分,楽になった部分もあるし,こなせる量も大幅に増えたので,業務のマネジメントは来年の大きな課題です。

 

9月末で関大に異動して2年が経ちました。着任以降がむしゃらに走り続けていますが,今年もそんな感じでやれています。様々な部署や部局から声をかけいただき,大変ですが,教職協働のもと楽しく自分らしく業務を遂行出来ていることに有り難みを感じています。教学IRとFD(マクロ・ミドル・ミクロ)を中心に,全学の教育改革や共通教養改革,認証評価,入試広報や学生支援,地域連携に至るまで,濃淡の差こそあれ,広範な領域に携わることが出来ています。大学(組織)は複雑系システムであり,部分最適解ではなく全体最適解の視点からアプローチすることが重要だと思っています。が,現実的にはどうしても自分の所属部署・部局に閉じがちで,空気が滞留してしまいがちです。私のような全学部署の果たす役割は,組織間の風通しを良くして,大学全体として学生の学びと成長を促す組織へと変容するのをサポートすることだと認識しています。そのためには,徹底的に組織のことを知り抜かないといけないと思っているので,ありとあらゆる部署・部局と繋がり,情報収集することは不可欠です。そうした繋がりを作っていく際にデータ(共通言語)は重要です。教学IRでは「徹底的に学生を知りぬくこと」を最重要視しています。学生がどう学び,成長しているのかを多角的に検証し,それを様々な部署・部局のニーズに応じてローカライズし共有する。このことを通じてより深く学生を,より深くその組織を理解し,先方との信頼関係を構築していく。部局との信頼関係構築は容易ではなく,正直思い通りに行っているとは言えないところもあります。ただ,そこから目を背けず,時間をかけて粘り強く誠実に向き合っていくことが不可欠です。実際,緊張感のあるやり取りもそれなりにあって,心が折れそうになる瞬間もありますが,「全ては学生のため」という思いでやっています。今後もこの方針で挑戦し続けようと思います。

 

こうした教職員との協働を通じた学生の学びと成長の促進(間接的な関与)の実現に加えて,より直接的に学生の学びと成長を促すための機会は作れないか,作りたいという想いを形にした年でもありました。授業は常に一球入魂の精神でやっていますが,授業を通じて知り合った学生たちが,授業を終えても「もっと学びたい,成長したい」といった声を聞かせてくれます。「ゼミはないんですか?」と聞かれることも多いのですが,残念ながら僕の職務上それは叶いません。確かに単位にもならないし,卒業要件にも関わらないけど,それでもやりたいと言ってくれる学生たちがいたことに背中を押されて,「関大生の学びと成長加速プラットフォーム(http://yamatuyo.com/education.html)」を立ち上げました。詳細については,当該ページに記載していますが,いわゆる非公式ゼミの形で,現在3ユニットが動いています。就職とか単位とか外的な動機ではなく,この仲間たちと一緒に学び成長したい(サポートしたい)といった内的なモチベーションで活動してくれていて,本当に嬉しい限りです。学部や学年が違う学生たちが,自分のため・他者のために活動する中でお互いの価値観を認め合い,卒業後も繋がっていく,そんな関係性が出来上がっています。来年も新たなユニットの発足も期待しつつ,より活性化していきたいと思います。

 

また,授業中・授業後(すぐ〜数年後)に学生から個別の相談依頼を受けることが多く,ほぼ毎週誰かの話を聴くような感じでした。学部・学年・性別問わず来ているのですが,僕のスケジュール調整が追いつかないので,上記プラットフォームの一機能として,「関大生のための「よろず相談所」」を開設しました。内容は多岐にわたっています。進路選択,学生生活,自分のこと(家族のこと)など。高年次になればゼミの指導教員もいるでしょうし,キャリアセンターや学生相談・支援センターもあります。そうした機会は大いに利用したらいいと思いますが,そこだけでは足りていないんじゃないか。そう思わせられるほど,学生からの相談依頼があるので,僕は僕なりに学生の声に耳を傾ける学内リソースの1つ(大人の1人)として開設した次第です。これは,私の業務や教育,研究にも大きく関係するので,ぜひ活用してもらえればと思います。

 

授業について,主に初年次を対象にしていたPBL型授業(プロジェクト学習1・2)も2023年度からの共通教養改革でリニューアルして,2年次以上向けの「プロジェクト学習2」を新設します(現行のプロジェクト学習2は「サービス・ラーニング」へ改称)。僕自身も2科目(「リーダーシップを開花する」「未来の大学を創造する」)を立ち上げるので,正課を通じてもより学生の学びと成長の促進機能を高めたいと思います。

 

最後に,2022年,プライベートでは9月に父親が亡くなりました。7月に緊急入院してから亡くなるまで(その後の対応含め)の間は,本当に大変でした。夏の時期は講演・研修・学会等も多く,この期間の記憶があんまりありません。歳も歳なので(先日45になりました),こうしたライフイベントは想定しておかないといけないな,何より自分も身体のことちゃんと考えとかないといけないなと痛感しました。健康あっての仕事なので,優先順位を誤らないようにしたいと思います。といいつつ,12月中旬から体調を崩して,完治することなく年を越しそうな雰囲気ですが,来年は健康にも十分気をつけていきたいです。

 

今年1年,大変お世話になりました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

みなさま良いお年を!

 

2022年12月30日

山田剛史