人生考路

個人と社会のウェルビーイングを高める教育と学びを探究する

発表会ラッシュを終えて〜もっとアウトプットの経験を〜

春学期の授業も終盤に入り,10日の週(第14週目)は成果発表会ラッシュでした。

 

12日(水)の「プロジェクト学習1(学生生活をデザインする)」(1年生対象)では,前半部(第1回〜第7回)の講義や演習を踏まえて,広く大学や大学生に関わるテーマを設定して,探究活動を行い,発表を行いました。

 

 

自分たちでテーマを決めて,学生に対するアンケートやインタビューをしたり,生協の職員等にインタビューをしたり,独自のHPを作成したり,過去の偉人の思想と楽単志向とを重ねてみたりと,チャレンジングな取り組みが多々見られました。

 

13日(木)の2コマ目は,教職科目「カリキュラム開発論」(3・4年生対象)の探究活動です。準備期間は3週間程度と短いですが,高等学校での探究カリキュラムをデザインするというお題で,3つのテーマ「職業・キャリア」「環境問題」「情報・メディア」から好きなテーマを選んで,グループを編成してというものです。全部で10グループあって,1グループずつ発表する時間はないので,ポスター発表会形式にしています。

 

 

90分という限られた時間の中で,10グループ,異なる3種類のテーマでのポスター発表をうまくハンドリングするのはなかなか骨が折れます。何より学部も学年も異なる学生たちがグループ作って数回の授業で1つの物を作り上げるというのはとても苦労します。そのためにも,毎回の授業で違うメンバーでグループを編成して,毎回必ずディスカッション等を行う時間を設けて,クラス全体の心理的安全性を確保するよう努めています。その積み重ねによって,短時間でのパフォーマンスを引き上げることに繋がります。もちろん,それでも学生のモチベーションは多様なので,苦戦を強いられることも少なくないのですが。

 

13日(木)の3コマ目は,「サービスラーニング吹田市の課題を解決する)」(3・4年生対象)の成果発表会です。毎年,吹田市の2部署から「お題」をもらって,学生たちはその解決策を検討し,新しいアイデアを創出します。最終的には,吹田市の施設にて市の職員らを相手にプレゼンテーションを行います。

 

今年度は「男女共同参画センター」と「シティプロモーション推進室」の2部署が手を上げてくれて,最終29名の学生が6つのチームに分かれて活動を行ってきました。今年度は,第1回目にしっかりアイスブレイクを行ったり,フィールドワーク(第3回・第4回)の後にも,リーダーシップに関する講義やチームビルディングのワークなどの時間をしっかり取ってから,チーム活動に入るようにしました。また,今年度は中間発表会にも吹田市の方々にも参加してもらうようにして,集中力やモチベーションが下がらないよう工夫しました。吹田市の負担も鑑みて,Zoomで参加していただくようにしました。また,全体で6チームと多いので,テーマ別に3チームずつ2部屋に分かれた上で,部屋同士もZoomで繋ぎつつ,吹田市とも繋いでメインルーム(全体説明)とブレイクアウト(各テーマの中間発表・質疑)を駆使して行うという複雑な形でしたが,うまくいってよかったです。コロナ前なら考えられない設計ですね。

 

中間発表会の様子(男女共同参画センターの部屋)

 

中間発表会での各部署からのコメントも踏まえて,学生たちは準備を進め,最終発表会に臨みました。発表会はメイシアター吹田市文化会館)で行いました。やはり6チームは多いので,展示室とリハーサル室の2部屋を借りて,それぞれ3チームずつに分かれて行うという形にしました。中間発表もそうですが,なにせ教員は私1人なので(身体1つしかないので),どうしても行き届かない部分が出てしまうのですが,90分でやりきらないといけないので,しょうがないところです。2コマぶち抜きにしたいけど,学部も学年も違う学生たちなので,全員が2コマ連続空いている状態はほぼ不可能なのです。

 

最終発表会(シティプロモーション推進室の会場)

最終発表会(男女共同参画センターの会場)

発表会の前の週,学生たちに「服装は自由でいいけど,市の職員さんを相手にプレゼンをするので,清潔感は意識してね」とだけ伝えていたのですが,結果,全員白を基調とした服を着てきていてビックリしました。「全員で相談したの?」と聞くと,グループの中では相談しましたが…という返事で,そうか,みんなの気持ちがシンクロするくらいの雰囲気が出来上がっていたのかなと嬉しく感じました。

 

各チームのプレゼンもとても良かったです。内容も良かったですが,一人ひとりの学生が市の方々に一生懸命準備してきた提案を伝えたいという想いがひしひしと感じられて,それが堪らなく嬉しかったです。市の職員さんらもとても感激してくれて,温かいコメントをたくさんいただきました。そんなあったかい雰囲気の中で発表会が進んでいきました。最後のあいさつの時,僕は不覚にも思いが込み上げてきて泣きそうになってしまい(いや,泣いてたな),声が震えてしまいました。だって,市の職員(大人)から渡された課題(バトン)を学生たち(若者)が受け取り,真剣に取り組んで,プレゼンを通してたくさんのアイデアを思いを込めて伝える。大人と若者,社会と学校とが繋がる瞬間。そら感動するでしょ。こうした積み重ねが大人と若者との信頼関係を築き,それが個人と社会のウェルビーイングを高める,そんな風にすら思います。

 

また,今回僕にとっても有意義だったのは,シティプロモーション推進室のサポーターとして,3名のインフルエンサーの方々(森さん@moriyahana,みりんさん@mirin_mi123,まさしさん@masashi_00_)が加わってくれたことです。様々なソーシャルメディアを駆使しながら,自分たちの強みを押し出していく。そうした人たちが繋がり,周りを巻き込みながら,世の中を元気にしていく。そんな活動を推進している方々に加わっていただき,随所に学生たちにコメントやアドバイスをしてくれました。森さん,みりんさんは最終発表会にも来てくれて,場を盛り上げてくれました。僕自身もとても良い刺激をもらいました。この場を借りて御礼申し上げます。

 

そんな感じで性質の異なる3つの授業の発表会を無事に終えて,来週は最終回。フィードバックと振り返りの週です。これもとっても大切。ルーブリック等を集約して学生たちにフィードバックします。同じグループ・チームの中での振り返り,ジグソーで別のメンバーたちとの振り返り,再度戻って振り返りと重層的に行います。最後は一人ひとりのスピーチで授業全体を,そしてこれからを語ってもらいます。

 

学部も学年も違う一週間に一度しか会わないクラスメイトですが,その後も続くような関係性を築けることが,僕にとっての裏の努力目標です。到達目標とか表の目標もありますが,正直その実現だけでいいのならそう困難ではありません。裏まで行けるかが僕のチャレンジです。

 

最後に,大学教育に対してどうしても言いたい。学生にもっとアウトプットの経験をさせて欲しい。インプットが多すぎる。アウトプットといっても試験で知識を問うばかり。教員が主導権を持ちすぎ。学生を信じてもっと学びのオールを握らせて欲しい。

 

よろしくお願いします!