人生考路

個人と社会のウェルビーイングを高める教育と学びを探究する

心理的安全性に関する論文が刊行されました

新年度が始まりましたね。

 

先月末,心理的安全性に関する論文が刊行されました。

正式名称は以下の通りです。

 

山田剛史(2023)「大学教育における心理的安全性の重要性と学生エンゲージメントに及ぼす影響」『関西大学高等教育研究』14,7-18.

https://www.kansai-u.ac.jp/ctl/activity/pdf/kiyo_no.14_pdf/14_02.pdf

 

学内紀要ですが,コロナ禍での経験を踏まえて,教育実践において学生の学びと成長を成功に導く上で重要なエッセンスであると思われる「心理的安全性」に着目し,その重要性と実践的なポイントおよび実証的な検証を行っています。

 

アクティブラーニング経験が増加しながらも,学生の学びが必ずしもアクティブになっていないといった実態はベネッセの大学生調査で常に出てくる問題ですが,そこには教員の有する教授・学習観や提供される教授法といったことだけでは説明できない問題があると思っていました。また,学生の動機づけの問題に帰属させることも出来ますが,もう少し違う問題が潜んでいるとも感じていたし,どうすれば学生のエンゲージメントを高められるかといった実践的な解はなかなか得られずにいました。

 

2018年に学生エンゲージメントに関する論文を書き,その時点でのこれらの問題への解答を得ようと試みましたが,十分ではないと感じていました。ただ,それが何なのかをうまく言語化出来ずにいました。今回,心理的安全性という観点にたどり着き,腑に落ちました。まさにこれだ!と。それがコロナ禍の遠隔授業の実践と種々の調査等によって相対的に導かれたのもある意味ありがたい経験でした。

 

山田剛史(2018)「大学教育の質的転換と学生エンゲージメント」『名古屋高等教育研究』18,155-176.

https://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/publications/journal/no18/09.pdf

 

よろしければ,両方をお読みいただき,感想などいただければ幸いです。

 

少し心理的安全性にこだわって,現在の代表科研と分担科研でも調査を計画・実施していますし,学会等でも発表していこうと思います。