人生考路

個人と社会のウェルビーイングを高める教育と学びを探究する

期待を希望に変えるとちょっと楽

人って頑張ったら頑張っただけ期待しますよね。他者に認めて欲しい、受け入れて欲しいって思いが強ければ強いほど期待しますよね。

 

でも、期待するってすごくエネルギーのいることだし、何の反応ももらえなかったり裏切られたり、期待通りにいかなかった時のダメージって大きいですよね。

 

でも、だからと言って、そもそも期待しないっていうのも、あきらめちゃうことにもなって、なんか違う気がします。

 

僕は日々そんな感情や葛藤に苛まれています。そんなことに苛まれるのは馬鹿らしいなとも思いますが、人間だものしょうがない。何分、小心者でいつまでたっても自分に自信が持てない人間なので、ホントに毎日凹んでいます。でも、そんな自分だから頑張れたり、人がやりたがらないことをやろうと思えたりするので、しんどいけど嫌いじゃないかなと少しは思えるようになりました。行ったり来たりの毎日です。

 

そういう中で、僕は最近、「期待」という形ではなく「希望」という形で自分の感情を持つようになりました。

 

「こうなって欲しい」を「こうなったらいいな」に変えるだけです。

 

文字に書くと大した違いはないのですが、相手の側に比重を置く形から、自分の側に比重を残す感じです。

 

結構楽な感じがします。

 

他者に求めすぎるのではなく、また他者に向かう気持ちを諦めてしまうのでもなく、自分を守りながら、他者と共生していく。

 

高度な情報化社会で自己と他者の境界が極めて曖昧になったこともあり、距離感(パーソナルスペース)や共存感(センス・オブ・コミュニティ)の在り方が変化して、自分を保つことがとても難しくなっていると、SNSや今の若い子たちを見ていると感じずにはいられません。青年心理学者としては、ぜひ研究したいテーマです。

 

希望を持ちにくい日本社会ではありますが、希望こそが自分を守る数少ない武器になるのではないかなという希望を抱きつつ。。

 

もっと寛容な社会になればいいのにな。

教授・学習パラダイムを見分けるたった1つのポイント

高等教育を捉える視点の1つに「教授・学習パラダイム」というものがあります。

 

学術的な説明はさておき、教授パラダイムとは教員(教授)中心に、学習パラダイムは学生(学習)中心に教育を捉える見方を表します。

 

このことはアクティブラーニングや主体的・対話的で深い学びへの転換と密接に関係しています。

 

政策上、教育全体がAL型に移行していく流れにあるわけですが、その是非はさておき、この流れにすんなり溶け込める先生とそうでない先生にスパッと分かれます。後者のタイプの先生にいくら啓発してもうまくいかないケースが大半です。また、たとえ、当人は一生懸命授業改善の努力をしていたとしても、(本来的な意味での)ALにはならないのです。

 

それはなぜか?

 

その鍵を握っているのが、教授・学習パラダイムです。その人の持つ教育観といっても良いかと思います。学習観、知識観とも言えます。この教育観は幼少期からの教育経験の中で育まれるもので、簡単に転換出来るものではありません。

 

そして、現職の学校教員の大半は、教授パラダイムの中で学び、その環境に適応し、それを好ましいと感じてきたわけです。だから教員という職業に就いているといっても過言ではありません。

 

つまり、教育とは、教員が伝え(教え)、学生は受け取る(学ぶ)、という構図からなかなか脱却出来ないのです。

 

そこをすっ飛ばして、形だけALを入れようとすると、これは教員にとっても、学生にとっても悲劇です。授業を見れば、その先生がいずれのパラダイムに依拠しているかは一目瞭然ですが、それは発言の中にも現れます。

 

もっともシンプルかつ明確にいずれのパラダイムに依拠しているかを見極めるポイントは、「主語は誰か」、換言すれば「使役動詞が使われているか否か」、になると思っています。

 

教育について話している時に、「学生に〇〇させる」といった発言をされる方がとても多いのですが、これは教員が主語になっていて、教授パラダイムのタイプに属します。「観」というのは、普段から意識しているものではなく、潜在的に有しているものの見方や捉え方なので、こうした表現が何気ない会話の中に現れます。

 

また、教授から学習への転換というスローガンは一定普及しているので、最近はこんな言葉を良く耳にします。

 

「学生に学習させる」

「学生に学ばせる」

 

言葉の中にこそ「学習」や「学び」が入っているわけですが、「学生に教える」といった従前の教授パラダイムと何ら変わりありません。

 

逆に、学生を主語に捉えられている先生の授業は、どうあってもALになります。外野からあれこれ言わなくても、そういう方向に動いていきます。

 

私のざっくりとした印象では、教授パラダイムと学習パラダイムの教員比率は「9対1」くらいでしょうか。期待を込めれば「8対2」くらい。分野にもよるし、世代にもよるし、あくまで個人の印象ですが。あえて、挑戦的に数字を書いてみます。

 

この圧倒的に不利なオセロの盤面を反転させるのに一体何十年かかるのだろうか。その間に、学生はどんどん入学し、卒業していく。そして、少子化はどんどん加速し、入学者自体も減少していく。

 

「学生に〇〇させる」

 

この言葉に目や耳で触れる度、絶望的な気持ちになってしまいます。

 

それでも、思考を止めず、自分に何が出来るかを考え、実践し続けていくしかないのですが。

理解と納得を使い分ける

私は普段から理解と納得を使い分けるようにしています。

 

この2つは似ているようで全然違うものだと思っています。理解とは認知的なもの(必ずしも価値観を伴わないもの)、納得とは感情的なもの(時として価値観を伴うもの)だとも言えます。

 

色んな物事に対して否定的な反応を示す人がいます。教育改革・支援の仕事をしていると常にそうした反応に直面します。多くの場合、それらはいっしょくちゃの形で単に「否定」として表出されます。

 

そこで、その人が「理解」できないのか「納得」できないのか、を見定めるようにしています。その違いによってコミュニケーションの取り方が変わってきます。

 

自分自身の中でも、物事の判断に困る場合に、「〇〇について理解はできるけど、納得はできない」といった形で整理する、言い換えれば、頭と気持ちを切り分けて対処すると、比較的ストレスなく進めることができます。

 

単なる感情的な反発を頭で理解しようとするととても混乱し疲弊する消耗戦です。

 

そんな戦い方ではなく、うまく物事を進めるための処世術です。

 

いよいよお別れ

平成が終わりを迎える頃から調子が悪くなり、令和を迎えた途端に動かなくなってしまいました。

 

オーブンレンジ

 

かれこれ10年近く使ってきて、島根、愛媛、京都と、一緒に引越ししてきましたが、新たな時代の到来とともに静かに幕を閉じました。最後は、何回ボタンを押しても「ピーピーピー♪」とエラー音が鳴り響くだけでした。ウルトラマンが星に帰るかのごとく。

 

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夫婦ともどもお世話になりました。たくさんの飲食物と私たちの心を温めてくれました。

 

レンジさん、お役目ご苦労さまでした!

 

 

しかし、レンジがないと生活が不便なので、別れを惜しむまもなく、次の子を迎えなければなりません。最近のレンジって?と思いつつ、割とすぐに決まりました。

 

バルミューダのオーブンレンジ

概要 | BALMUDA The Range | バルミューダ

 

機能は普通、だけど、オシャレ、そこに惹かれました。希望の色はブラック一択。だけど、家電量販店では全て売り切れ状態。ネットで調べても「入荷待ち」か、あっても2倍以上の値段が付いていたり。メーカー欠品中で、6月中旬以降とのこと。そこまで待てないので、違う色(白色)にするか、他のにするか。。でも、諦めきれずにあちこち探した挙句、何とか辿り着いた1店で無事にゲット。

 

今日帰ったら我が家に来ていました!

 

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おしゃれ~

 

普通なら「チン♪」となる仕上がり音も、バルミューダレンジなら、爽やかなギターの「ジャラ~ン♪」という音色。終了時には「ENJOY」の表示。ステキです。

 

日常の何気ないところにハッピーを。

 

おわり

 

大学教育研究フォーラム2019のアーカイブがアップされました

当センター主催の第25回大学教育研究フォーラムの個人研究発表の要旨(PDF)ならびに各種講演の動画(および配布資料)が、センターのウェブサイトにアップされました。

 

  • 個人研究発表(要旨)

アーカイブ(発表原稿) | 大学教育研究フォーラム

 

  • シンポジウム・特別講演・パネルディスカッション(動画)

第25回シンポジウム・小講演 | アーカイブ(動画) | 大学教育研究フォーラム

 

当方はシンポジウムにおいて「トランジションをどう理解し、学校教育の中に位置づけるか」と題して報告させていただきました。

 

山田 剛史「トランジションをどう理解し、学校教育の中に位置づけるか」 - YouTube

https://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/forum/movie/pdf/2018/Yamada.pdf

 

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30分という限られた時間で、かなりのボリュームの話をしたので、改めて聞いても「早いなぁ」「聞き辛かっただろうなぁ」と反省もありますが、自分的にはこれまでの教育改革への関与や教育研究を通して見えてきた課題を、今取り組んでいる研究と絡めながら一定整理することが出来たように感じています。

 

お時間があれば、ご視聴いただき、忌憚ないご意見・ご指摘いただければ幸いです。

 

ちなみに、来年のフォーラムは「2020年3月18日(水)・19日(木)」を予定しています。詳細は随時出していきますが、プログラムは一昨年までの形(従来の通り)になる予定です。

平成の疲れを取り除く!

思えば、2019年が始まっての4ヶ月、ほとんど息付く暇もなかったので、朝目が覚めても疲れが抜けず、どんどん身体が重くなっていました。

 

普段だと月に1回くらいは岩盤浴に行ったりしていたけど、そんな間もなく。でも、GWが始まって、平成も終わりを迎えてのこのタイミングしかないと、昨晩急に思い立って、近所にあるタイ古式マッサージを予約して行ってきました。夜9時30に思いついて、夜中1時30分から3時までの90分間を予約。お店が遅くまで空いてるところで良かった。

 

タイ古式マッサージは、数年前に出張でタイに行った時に受けたっきり。さすが本場だけあって、それはもうすごく良かったのだけど(めちゃくちゃ安かったし)、日本ではあんまりないし、どうかなぁと思ってたので行ったことはなく。

 

だけど、これがもうすごく良かった!僕の疲れきったバッキバキの身体にピッタリ。表面的には気持ちいい指圧中心のマッサージとは違って、指圧に加えてストレッチを中心に身体の芯からほぐしていくので、ものすごく気持ちが良かったです。施術してくれた人も、遠慮がちながら何度も「全身ガッチガチです」と言っておられましたが、最終的には随分すっきりしました。

 

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今日は全身伸ばした影響で、あちこち痛みも残っていますが、月に1回は行きたいなぁと思いつつ、平成の疲れを少しは取り除くことが出来ました。

久しぶりに会えました

今日は久しぶりに母・妹と会いました。我が家に招いて同じ時を過ごしました。

 

母親とは少し前、手術で入院した時にお見舞いで会ってたけど、妹とは随分と久しぶり。

 

4歳年下の妹は、双子を含む4人の子育てをしながら、銀行員(総合職)としてがっつり働いていて、なかなか会えなかったので良かったです。

 

大学と会社とで、互いのフィールドにおける人材育成の方法や在り方を話してたら、同じような考え方をしていてビックリ。やっぱり同じ家庭環境で育つと似てくるものなのかなぁ。

 

誰だか分からない社会の代弁者(経済産業界の限られた成功者/年長者)の声に大学は踊らされているわけですが、もっと今の時代を生きる若い世代の社会人(学校関係者以外の人)と対話をする機会を持ちたいなと思いました。

 

ともあれ、会う度に比喩ではなく本当に小さくなっていく母との時間は大切にしたいなと。くれぐれも健康には気をつけてね。(ブログを見てくれている母へ(笑))

 

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(妹は身バレはイヤだと写真NGだったので、おかんとパシャり)

平成最後のお仕事

気づけば4月も終わり、即ち平成も終わるのですね。「人生再設計第一世代(笑)」ど真ん中の私としては、この30年間はがっつり青春を過ごし、大人として成長した人生の土台となる期間でありました。そう思うとちょっと寂しい気もします。

 

そんな平成最後のお仕事は東山中高でのミーティングでした。学校改革に関わり始めて4年目に入りますが、常に生徒のために、どんなことをしたらいいか、あんなことをやってみたい、こんなことをしてみよう、など話題が尽きることなく進んでいます。とても楽しい時間です。

 

昨年から始めた取組の1つに「鯉のぼりを掲げる会」の設置があります。ご家庭に眠っている鯉のぼりを寄贈してもらって、学校に掲げようというものです。

 

東山中学・高等学校 東山に鯉のぼりを掲げる会

 

今年の寄贈分も合わせると280旒になるそうです。そこに込められた想いについて、副校長の塩貝先生が語っています。こういうのとってもいいなって思います。

 

https://youtu.be/mungMzdat1I

 

進学実績、受験学力、授業改善、もちろん大事ですが、東山では子どもたちの豊かな心を育むために学校全体で出来ることをたくさん考えて実践しています。

 

また、学校は有名な観光スポットである南禅寺の真横に位置していて、周りは連日外国人観光客で賑わっています。新しい観光の目玉になるかも。

 

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ここ東山中高を会場として、日本私学教育研究所が主催する教員研修会(6/21, 金)が開催されます。当日は東山の授業も6つほど見られるよう準備を進めています。ご興味のある方に紹介いただければと思います。

 

http://www.shigaku.or.jp/training/general/2019/2019_annai0621.pdf

 

それでは、みなさま、素敵なGWを。

食事よりも楽しいこと

私は有り難いことに、高等教育研究開発推進センターの教員として全学的に教育開発・支援に携わる役割と、教育学研究科の教員として大学院生の教育・研究指導に携わる役割の2つを持つことが出来ています。

 

今日は、教育学研究科の昼食会でした。新しい先生が着任されると開かれます。大体春と秋にこの昼食会が、夏と冬に慰労・送別の夕食会があるので、結構集まる機会があります。

 

今回新たに着任されたのは、高山敬太先生。学部・研究科内に設置されているグローバル教育展開オフィスの室長・教授(前任校は、オーストラリアのニューイングランド大学)として着任されました。大学卒業後から海外に出て20年近くぶりに日本に戻ってこられたとのことですが、海外から見てきた日本の高等教育政策の独自性を、日本の中から捉え、それを世界に発信したいと話しておられました。

 

毎回の昼食会では、料理も美味しいのですが、何より美味なのは、近くに座った先生とのトークです。著名な先生が多数おられるので、この機会に独り占めして、研究の話を聞きまくることが出来ます。今日は、お隣が佐藤卓己先生だったので、専門のメディア史について質問したり議論したりしました。政治学歴史学との差異、教育とメディア、若者とメディアの関係など色んな話をしました。

 

その後あった教授会の後に、佐藤先生からいまは売り切れている書籍をいただきました。他にも多数の書籍を著しておられ、様々な賞も受賞されています(佐藤卓己 - Wikipedia)。センスの塊のような先生だなと思いました。

 

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僕は三度の飯より、新しいことを知れることが好物のようです。自分で言うのも何ですが、好奇心の塊のような人間です。

 

もっともっと色んなことが知りたい。知らないことが多すぎて、毎日凹んでしまいますが、こうした機会が日常的にあることに感謝しつつ、日々研鑽していきたいと思います。

2019年度最初のゼミでした

今日は、2019年度に入って最初の山田ゼミでした。個別指導は既に始めていますが。社会人も多いので、全員は出られなかったものの、新M1、新D1の2人に加えて、他の先生の指導院生(留学生)にも直前に声をかけて飛び入り参加してもらいました。

 

互いの研究紹介から始めたのですが、急遽思いついて「ビブリオバトル形式」でやりました。1人の持ち時間は5分間、口頭のみ資料なしで、自分の研究の内容、魅力を伝えてもらうというもの。予め準備はせず、ほぼ即興でやってもらいました。学会や懇親会など、専門外のビブリオに簡潔に自分の研究を伝える場面って多いので、そのトレーニングも兼ねて。

 

また、学びの場は出来るだけ楽しくがモットーなので、順番決めにもルーレットアプリを使ってやりましたが、なかなか盛り上がりました。

 

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ちなみに、僕もやりました。

 

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全員のプレゼンが終わってから、誰のプレゼンが1番良かったか、一緒に研究してみたいと思ったか、を発表してもらいました。

 

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票は割れましたが、この人がこの人のを面白いと思ったんだ、といった新たな発見もあって良かったです。

 

ちなみに、忖度して、指導教員の僕に入れようとならないところが、うちのメンバーの素敵な所だと思います(笑)

 

研究を通した教育に携われるのはとても刺激的で楽しいですね。

 

研究は苦しいけど、みんなで切磋琢磨しながら、知的な探究の旅を楽しんでいければと思います。

山田研究室のメンバーが増えました

昨日(4/5)は本学の入学式でした。学部は午前、大学院は午後から、みやこめっせで行われました。

 

「令和」と「平成」色紙掲げる新入生も 京都大で入学式(京都新聞) - Yahoo!ニュース

 

うちの研究室には、修士課程1名、博士後期課程1名の2人が新たに加わりました。早速、2人への研究室オリエンテーションと指導を行い、ついでに入学式会場に送迎しました。

 

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これで、M1からD3まで全ての学年に院生が揃ったことになります。現役社会人や社会人経験者、留学生と多様なメンバーで構成されている上に、テーマもバックグラウンドも多種多様なので、研究室主宰者として、マネジメントはなかなか大変ですが、教員との個別指導に依存せず、院生同士や学外での交流なども積極的に行いながら研究を進めて欲しいと思います。

 

研究室を効果的・効率的に運営するために、色んなことを試行錯誤していますが、その1つとしてこんなツールも導入しています。なかなか便利です。

 

Slack(チームコミュニケーションツール)

機能 | Slack

 

色んな意味で研究を続けるのは大変ですが、問いを見つけて探究する楽しさを味わいながら、生徒学生のための研究をしていって欲しいと思います。

 

僕も頑張らないと。

 

新年度はじまりましたね

新年度がはじまりました。

 

新しい元号(『令和』)も発表されました。

 

大学業界では異動の報告があちこちでなされていますね。学内でも職員の異動があって、今日も私信で連絡(御礼)のメールをいただいたり、「あー、この人ともっと一緒に仕事したかったなぁ」と少々感傷に浸ったりします。

 

私の方は特に変化もなく、今日も年度早々、大学本部でヘビーなミーティングに参加して、今年度も大変そうだな・・・と若干足取りの重たい帰路につきました。

 

でも、嬉しいこともあります。

 

当方の研究室メンバー2人もこの3月で巣立っていきました。当方の研究室のOAおよび教育アセスメント室の研究員を務めてくれた川内亜希子さんは、この4月から神戸学院大学の全学教育推進機構でIRやFDの仕事を専門的に行う部署に講師として着任されました。また、約1年半研究生をされていた南裕美さんは、大阪信愛女学院短期大学看護学科に講師として着任されました。

 

大学院生というカタチではありませんが、私としては、色んなカタチで当方やセンターに関わった人たちが高等教育をよりよいものにするべく巣立っていってくれることを願っています。2人とも大切な教え子です。2人の今後を心より応援しています。

 

別れもあれば出会いもあります。

 

当方の研究室には、新しい大学院生も入ってきます。今年度は、修士課程に1人、博士後期課程に1人です。2人とも現役の大学教職員です。新しい化学反応が起きることを楽しみにしています。

学校から社会へのトランジションを乗り切るために

卒業シーズン、別れの季節ですね。でも、4月になれば新しい出会いもあります。寂しさと期待、不安が入り乱れる時ですね。

 

学校大学から社会に羽ばたくみなさんの移行(トランジション)が少しでも円滑に進めばと思います。

 

ということで、心に留めておくといいかなと思うことを少しばかり記してみます。(特に、真面目で几帳面な新社会人の方へ)

 

トランジションを乗り切るための7tips

  1. 相手を変えようとするのではなく、自分が変わる(過去と他人は変えることが出来ない)
  2. 他者からの評価を過度に期待したり、他者との比較を重要視したりしない(人は人、自分は自分)
  3. 分からなければ聞く、出来なければ頼る(一人で抱え込まない)
  4. 失敗してはいけない、という思考に囚われず、やってみて失敗したら謝る、の精神で(完璧主義は捨てる)
  5. 出来ない理由を考えるより、出来るための方法を考える(「どうせ無理」と思わない)
  6. 経験を楽しむ、あるいは、楽しめるようにする(自分ルールを設定する)
  7. 大事なことの決定を人に委ねたり、口出しさせたりしない(自分の人生は自分で決める)

 

これ以外にも色々あると思うし、それが出来れば苦労しないよ、という気持ちもあるとは思いますが、トランジションを円滑に乗り切って、自分の人生を楽しんでもらえればという気持ちで書いてみました。

 

みなさんの人生が幸せなものになりますように。

共愛学園前橋国際大学での外部評価を終えて

今日(3月27日)は、共愛学園前橋国際大学群馬県前橋市でAP事業の外部評価委員のお仕事でした。委員を委嘱されて3年目ということで、今回は3回目の訪問でした。

 

今でこそ、当該大学(および学長先生)は教育改革先進校(牽引者)として知名度が高くなっていますが、3年前に僕が訪れた際にはまだそこまでの状態ではなかったと思います。初めて訪れた際に、“Kyoai Commons”のセキュリティーゲートがないことや、紹介された新しい学部長が30代前半の准教授の先生だったことなど、驚くことが多く、でも、その理由などを聞きながら、「あ、この大学は本当に学生を信頼している大学なんだ」と思った次第です。それから、あちこちで講演の際に、「共愛はいい!」と連呼していたら、気づけば上述のような状態になっていました。もちろん、僕が言っていたから、なんていうわけではありませんが、やっぱり来たか、というのが率直な印象でした。僕がエンゲージメントを研究する際に意識していた大学のモデルでもあります。

 

今日は、外部評価委員会の前に、COC+事業の一環として「グローカル人材フォーラム」に出席しました。その主役は、学生です。教員も発表はしますが、地域や海外で学んだ学生らが自分たちなりの準備をして発表を行います。最後には、今年度から新たに始まった「KYOAI GLOCAL HONORS」の学生ら(1期生)が英語でスライドを作り、熱心に想いを伝えていました。とても清々しくて、素直な子たちだなと感心しました。こういう学生たちを教育するのはさぞかし楽しいだろうなと思います。

 

終了後、外部評価委員会でした。細かなツールや制度も大事ですが、何より、学生を第一に考え、信頼し、様々な環境や選択肢を用意する先生方がいて、それに応える学生がいる、もうそれで十分じゃないか、と思ったりします。改めて、教育に重要なのはカタチではなく、オモイだなと感じました。

 

その後、高崎駅に移動して、首脳陣らとの懇親会。美味しい食事と熱い議論に花が咲きました。学長の大森先生に、「大学改革を進めるにおいて、大学のアドミニストレーターには、何が一番大事でしょうか」と問うと、「覚悟かな」と答えてくれました。これはずしっときます。でも、この覚悟が随所に現れていることを色んな実践から伺うことが出来ます。組織を作れば、制度を整えれば、実現するというわけではないだけに、なかなか属人性も高く、一般化は難しいのかも知れないけど、こんな大学がもっともっと増えて欲しいなと切に願います。

 

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今回、もう一つ嬉しいことがありました。大学院時代に戦友だった奥田くんと再会できたことです。共愛にいることは分かっていたのだけど、なかなか会うことが出来ずだったのですが、今日十数年ぶりに会えました。思わずみんながいる前で抱きついてしまった。

 

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二次会は、大森学長と奥田くんと3人で飲みに行きました。尊敬する学長先生と大切な友人と年度末最後の出張を締めくくることが出来て、とっても幸せでした。なので、こんな時間にブログを書いています。他にも色んな話をしましたが、この辺で。

 

この大学の動向については今後も注目です。

大学教育研究フォーラムを終えて

3月23日(土)・24日(日)は、私の職場である京都大学高等教育研究開発推進センター主催の第25回大学教育研究フォーラムでした。

 

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最終的には800名弱の参加者に来ていただきました。個人研究、ポスターそれぞれ100件を大幅に超える発表があり、大盛況でした。

年度末のお忙しい中、ご参加いただきありがとうございました。

この時期の京都はホテルを取るのも難しく(しかもべらぼうに高い)、バスが動かないなどご不便も多々かけたかと思います。

 

今回の私の役目は3つでした。

 

1つ目は、1日目の情報交換会での司会。これは大事なお仕事です。150名を超える方にご参加いただき、こちらも大盛り上がりでした。楽しくやりました。

 

2つ目は、2日目の午前のプログラム、溝上さんの特別講演の司会。年度途中に京大を辞職し、桐蔭学園に異動されたこともあり、京大では行わなかった最終講義的な講演としても位置づけていました。そのこともあってか、もう一会場別プログラムが走っていたにも関わらず、時計台百周年記念館の1階ホールは300名を超える参加者が詰めかけました。最初、「最近短い時間で話す訓練させられてるから、90分もかからないかも。早く終わったら終わったでいいんじゃないか」なんて言っておられましたが、話半分で聞いていました。そんなわけはない、と。想定通り、90分でも終わらず、結局、「教育を捨てて教育に戻る」のタイトルにある、教育に戻らない状態で講演が終わりました(笑)あとで、あさがおMLでフォローされていました。僕としては、そういう背景での講演だったので、自ら司会を志願し、「京大お疲れさまでした」「桐蔭頑張って下さい」の気持ちを込めさせてもらいました。溝上さんの異動については、あちこちで色んな憶測が飛び交っているようですが、側で見てきた僕としては全面的に納得のいくものだし、必然的なことだとも思っています。ともあれ、これからが楽しみです。

 

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3つ目は、2日目の午後のシンポジウム「高校から大学、大学から大学院、大学から社会へのトランジション」の登壇者です。僕は「トランジションをどう理解し、学校教育に位置づけるか」と題して発表を行いました。限られた時間でしたが、トランジションウェルビーイングやエージェンシー、エンゲージメントの観点から捉えて、学校教育が果たす役割・意義などについて問題提起を行いました。あまりに時間が短くて消化不良気味ですが、自分的には今後の研究につなげるための整理が出来てそこそこ満足しています。それぞれ非常に大きい概念なので、そのまま細かな研究には落とし込みにくいですが、少しずつ形にしていきたいと思います。

 

講演関係については、後日センターウェブサイトに動画がアップされます。また、ご興味のある方はご覧下さい。

 

フォーラム終了後は、毎年恒例のスタッフらとの反省会と称した懇親会兼送別会。3月で学位を取得して修了する者、他大学等に転出する者、昇進する者など、みんなでメッセージとともに送り出します。もうそんな時期なのですね。

 

4月から新たな生活を送られるみなさま、良き旅を。